浅野哲衆院議員 教育のユニバーサル化で、全ての子どもたちに機会を〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉

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自身の子育てや子ども政策について語る国民民主党の浅野哲衆院議員=東京・永田町の衆院第1議員会館で(松崎浩一撮影)

本音で話しちゃう!のタイトルカット

押し付けず、信じて任せることを大事に

 衆議院議員の浅野哲です。

 前回コラムを担当された参議院議員の寺田静さんからこんな質問を頂いています。

 「子どもが小さかった頃の育児とはまた違う苦労があるのではないでしょうか。大人になりつつある娘さんを育てるお父さんとして、気をつけていること、大変なこと、楽しいこと、教えてください」

 そうですね、気をつけるというほどのことでもないのですが、子どもと接するときに昔から意識していることはあります。それは、同じ目線で接する、ということです。この春、娘は中学生になって友達も増え、行動範囲も広がりました。そうすると、親の想像を超えて、自立して、どんどん外に出ていくじゃないですか。それでも、親だからといって、「こうしなさい」「ああしなさい」と指示を出したり、具体的な行動を促すことはできるだけ控え、子どもと同じ目線で、一緒に考えて、一緒に動くようにしています。親と子というよりは、一緒に成長していく存在でありたい。そういう目線の高さは常に意識しています。これは私だけじゃなくて、妻もそうです。変に抑制せずにまずは信じてあげること、肯定してあげることを大事にしたいと思っています。

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1歳だった娘と、地元の日立市かみね動物園にて

 娘が中学校に進学した、というお話をしましたが、進学に関しても娘が自分でいろいろ調べたり決めたりしました。どんな学校があるのか、どの学校を志望校にするのか、なぜその学校に入りたいのか…。決めた理由を親が教えてもらって、相談して、「じゃあそこに向けて頑張ろうか」という話をしましたね。親ばかになってしまいますが、自分で決めた目標だからこそ、本当によく頑張っていたし、私は娘の進学先に関してはほとんど口出ししませんでした。自分で目標を決めたからか、こういう塾の講座に行きたい、この学校の見学に行きたい、と自発的に相談してきてくれました。なかなか一緒に見学に行けないときもありましたが、自分で決めて自分で動けるようになってきたんだなと実感した日々でもありました。

 私自身がそうだったのですが、勉強するように言われれば言われるほど、勉強に抵抗感を持つようになりますよね。反抗期って特にそうじゃないですか。だから、妻と話し合って、勉強を押し付けるのではなくて、信じて任せるようにしていました。勉強嫌いにならないような環境作りに集中しましたね。子どもが自分で決めたことをやっているのなら、それを最大限サポートしてあげるのが親の務めなのかなと思います。

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茨城県笠間市にて、当時2歳の娘と絵付け体験

 とはいえ、今私は、週末含めて朝から晩まで仕事が入る日が多いので、子どもとの時間の確保がなかなか難しいのが現実です。だからこそ、一緒にいられる時間は、できる限りずっと一緒にいるようにしています。さすがに小学校高学年とか中学生になってくると、くっついている必要もなくなってくるのですが、それでも、じっくり話を聞いたり、何げない会話をしたりする時間は大切にしています。家族と離れている間は、毎日朝と夜に電話をするようにしています。

チャレンジしたい子ができる仕組みを

 私がママパパ議連に入ったのは、そもそも子育て政策や教育政策といった分野に興味があったからです。根底には、子どもの未来を良くしたいという気持ちが強くあります。議連で他の議員や官僚の人たちと意見を交わしたり、このリレーコラムを見たりしていて改めて実感したのは、どのような役職であっても、母親や父親の立場にある皆さんが仕事と家庭との両立ができるような環境整備はすごく大事だということです。子育ての苦労をまさに感じながら政策を考える場合と、そうでない場合とでは、視点が変わってくると思うんですね。

 そういう観点から言えば、国会議員を取り巻く環境というのはまだまだ改善が必要だと思います。そして、それは必ずしも政治家だけじゃなくて、例えば官僚の皆さんとか、政治の現場で働いている職員の皆さんについても、やはり同じだと思います。例えば、官僚の皆さんにも家族がいて、お子さんがいて、親の役割もあります。政策を考え、立案する立場にある人たちが、子育てをしながらも仕事をしっかりできる環境を整えるという経験は、国民のための本当に必要な政策につながると思います。

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栃木県那須町にて、当時5歳の娘と

 取り組みたいことはいろいろありますが、最も強く思うのは、全ての子どもたちにとにかく機会を作る仕組みづくりが必要だということです。

 チャレンジをしたいと思えばチャレンジできる機会、学びたいと思えば学べる機会をすべての子どもたちが得られるようにしたい。例えば経済的な都合だったり、住んでいる場所の都合だったり、障害の有無だったり、さまざまな理由で機会を手にできない子どもたちが日本にはたくさんいます。しかし、今の教育体系のままでは、難しい面がある。教育のユニバーサル化を進めて、全ての子どもたちが学ぶ機会、成長する機会を同様に手にできる、そういう社会を目指していきたいです。具体的に目の前の政策でいうと、教育無償化だったり、所得制限の撤廃だったり、教育のDX(デジタル・トランスフォーメーション、デジタル技術を活用して時代に対応した学習や組織運営を確立させること)だったりするのですが、みんなが同じ教育を受けられる環境整備、さらにはさまざまな経験を積む機会を子どもたちに届けていくことが何より重要だと思っています。

見えない場所にある「機会」の情報を

 私がそう考えるようになったきっかけは、自分自身の経験からです。私は小中高とずっと地元の学校で、部活動や実家近くの塾や習い事に通いながら、それなりに充実した学生生活を送ることができていました。ところが、大学に進学した時に驚いたんです。同世代なのに海外での就学や企業インターン、ボランティアなど、自分が考えもしなかったような多様な経験をしていている人が多くいました。例えば、音楽のような自分の得意分野を持っている人、世界中に友達がいる友人もいました。その友人たちの話によると、通っていた学校からの機会提供や教育熱心なご両親や親戚の勧めがきっかけになったそうです。私自身は、それまでの学生生活を悔いてはいませんし、もちろん勉強の機会を与えてくれた両親に感謝しています。

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旅行先の新潟県にて、当時6歳だった娘とアスレチック遊び

 伝えたいのは、子どもたちに与えられる機会の量や内容には相当な差があるという現実があることです。ちなみに私の両親は公務員だったこともあり経済的な苦しさを感じたことはなかったので、経済的な理由だけではなく、子どもたちに届く情報の格差にも目を向けていかなければならないと思います。だから、今を生きる子どもたちに、これまでは見えていなかったいろんな道、選択肢が見えるようになったら、そして、誰でもその道を進むことができるよ、と言われたら、自ら一歩踏み出す子は増えるでしょうし、一人ひとりの可能性がさらに広がって、日本の未来も明るくなるだろうなと思うんですね。

 そのためには、子どもたちが自分から見えない場所にどういう「機会」があるのか、きちんと情報として受け取れるようにしないといけない。スポーツだったり、文化芸術だったり、経営だったり、いろいろな道があるわけですよね。ただ日本の若者は、一定の年齢とか一定の環境にならないと、それらに接することがないように思うんです。よほど自分が出向いていかないと、向こうからはやって来ないんですよね。でも海外はそうじゃない。インターン制度とか、職場体験の環境とか、大人たちの方が学校にやってきて、いろんな情報を子どもたちに提供するということもやっています。さまざまな情報に触れて、なおかつそこにアクセスできるという環境がやはり理想的だと思うんですね。

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議員事務所でパソコンに向かう浅野哲衆院議員

子どもの環境の整備 優先順位を上げる

 英才教育を受けてきた子どもと、なかなか教育の機会に恵まれなかった子ども。この狭い日本の中でも二極化しています。ただでさえ少子化なのに、子どもの中の格差も大きい。経済界にとっても、日本を持続可能な国にしていくための重要な課題だと思います。教育界だけが頑張る話ではないんですね。政府が中心となって、経済界や地域コミュニティがそうしたところに参画して、日本の未来を担う子どもたちを一緒に育んでいくような体制が理想的ですが、やっぱりまだ政府内の縦割りや教育分野への参入障壁が根強くあると感じています。

 日本の政治もまだまだ変わらなくてはいけないと思います。教育政策だけでなくて、子どもたちを取り巻く環境を変えることが、将来の自分たちの生きている国・社会にとって大きな変化をもたらすんだということを、強く認識すべきです。言葉で言えば、みんな「それはそうだね」などと言いますが、それを実現するための政策作りや法整備の優先順位はなかなか上がっていかない。プライオリティをもっと上げることが課題です。目先の新型コロナウイルス対策や物価高対策ももちろん大事ですし、私もそこに取り組んでいますが、ただそれだけをやっていてはだめで、その先を見据えて動かなくてはいけないと思っています。

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 次回を担当する中谷一馬さんに質問です。中谷さんとは同期で、お互い候補予定者だった時代からいろいろな交流を持たせていただきました。当時独身だった中谷さんも、今では2児のお父さんになり、他人の私から見ても子煩悩なパパとして私の手本のような存在です。中谷さんは、仕事も多忙を極める中、お子さんとの時間をどのように確保していますか。また、今の中谷さんが、子どもが生まれる前の自分にアドバイスをするとしたら何を伝えたいですか。ぜひ教えていただきたいです。

浅野哲(あさの・さとし)

 茨城5区、当選2回、国民民主党。1982年9月、東京都八王子市生まれ。青山学院大学大学院修了後、日立製作所の日立研究所で勤務。その後、労働組合役員を経て大畠章宏衆院議員の秘書となる。2017年10月の衆院選で初当選。ものづくり支援や中小企業支援、IT化・デジタル化の推進、エネルギー政策などに取り組む。妻と中学生の長女と3人暮らし。

(構成・坂田奈央)

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  • うた says:

    「見えない場所にある「機会」の情報」に、大変共感しました。まさに自分も学生時代に浅野議員と同じく、環境が変わった際に少しカルチャーショックに近い思いをしました。そして子育てしている今、自分が子どもに提供している情報がこれでいいのだろうか?足りていないのでは?と日々感じています。子どもの世界はとても狭いので、大人からしてみれば小さなことに一喜一憂します。例えば学校でつまづいたとき、人間関係に悩んだときなどもっと世界は広いんだよ、それがすべてではないんだよ、と声をかけてあげたいなと思います。長年抱えていた気持ちに答えをいただいたような、すっきりした気持ちです。この記事に出会えてよかったです。

    うた 女性 30代

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