保育士の処遇改善を 立憲民主党が三原じゅん子こども政策担当相へ要請 「なり手がいなくなる」

 立憲民主党子ども政策部門の国会議員らが16日、保育士の処遇改善や保育の質の確保などを求める要請書を三原じゅん子こども政策担当相に手渡した。立憲の政策決定機関「次の内閣」で「ネクスト子ども政策担当大臣」を務める高木真理・参院議員は「配置基準を改善していかないと、過酷な現場でさらになり手がいなくなる」と危機感を示した。
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三原じゅん子こども政策担当相(左から2人目)に要請書を手渡す立憲民主党の高木真理議員

配置基準ぎりぎりにならざるをえない 

 高木議員や元保育士の奥村政佳・参院議員は、有料職業紹介所の高い手数料は「本来、働いている保育士の処遇改善費に充てられるべきだ」と指摘。子どもの数が年々減る中で、子どもの数を基にした運営費の給付では、「園の経営を圧迫している、とさまざまな園から声が上がっている」と説明した。

 保育現場でのICTの導入は、保育士の負担減につながるが、「現状は導入時の補助のみで、ランニングコストの支援が足りていない」としている。
 
 要請書では「『保育士不足』は『保育の質の低下』にも繫(つな)がる喫緊の課題」と指摘。保育事業者が有料職業紹介所を利用する際に、採用した保育士の年収の3~5割と高い手数料を取られる事例が増えていることを問題視する。

 また、利用する子どもの数で行政からの給付金額が決まる現行制度では、子どもの数が減って給付金が減らされるが、保育士の数は減らせないため、配置基準ぎりぎりという厳しい運用を余儀なくされているとして、抜本的な見直しを求めている。

 要請事項は以下の通り。

  1. 保育士の処遇を抜本的に改善。保育士の配置基準を見直し、職員の負担を減らすこと

  2. 有料職業紹介所の紹介手数料が保育園経営に過大な負担となっているため、手数料がかからないハローワークや「保育士・保育所支援センター」を利用すれば人材が確保できる体制を早急に構築した上で、有料職業紹介を原則禁止にすること

  3. 本当に必要な保育士数を配置できるよう、子どもの人数を基にしている現状の公定価格制度を見直すこと

  4. 幼稚園・保育園・認定こども園と3つの類型で運用されている現状の合理化を検討し、行政の無駄を減らすこと

  5. 保育現場のDXの導入や運用に関して財政措置を行うこと
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保育士の処遇改善への課題を説明する高木議員(右から3人目)や奥村政佳議員(左から2人目)ら

大臣「処遇改善が行き渡るように」 

 これらの要望に関し、三原じゅん子大臣とこども家庭庁担当者からは以下のような趣旨の返答があったという。

 処遇改善に関しては、努力はしている。処遇改善をした部分に関して、なかなかすみずみまで行き渡っていない点があると承知しているので、行き渡るようにしていきたい。現在、どのくらいの配置基準が適当なのか、こども家庭庁が根拠を示せるように研究を進めている。

 立憲民主党が2022年4月に衆院に提出した「保育士・幼稚園教諭の処遇改善法案」では、保育士の賃金1人あたり月額1万円の上昇を盛り込んでいる。保育士の賃金は、全産業と比べて8万円程度低い水準にあるとして、当時の政府の月額9000円引き上げ策では「不十分だ」と訴えており、引き続きこの法案の成立を目指していくとしている。

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  • 匿名 says:

    遡っての賃上げ分など、いつになってももらえない。説明求めても嫌な顔されるだけで、何も納得いく答えなどもらえない。人手不足で仕事は増え続け、精神病んでる保育士がどんだけいると思っているのか。

    園も法人も国も、一体どこ見て何目指して何がしたいんだか。
    なのでもう、認可園だの私立保育園だの、期待するのやめました。

    最初から待遇のいい、発達支援ホームや企業の無認可園に移ります。よっぽど保育士大事にしてくれる。指導能力、管理能力の欠如した園長からのパワハラ以前の心ない扱いに耐え、イライラギスギスした環境に目を瞑り、子供や保護者への対応で疲れ果て、その内保育士不足じゃなく保育士いなくなりますよ。

     女性 無回答
  • 匿名 says:

    公定価格については賛成。園児の人数で公定価格が変動するので、定員が埋まっていない保育園は運営費が減り、結果として職員の給与や賞与に回せないことになる。保育園の仕組み自体を根本的に変えていかないと、保育園の未来はない。

     男性 40代
  • 匿名 says:

    政党が動いてくれることはありがたい。

    配置基準だけでは残念ながら解決しないと思う。現場が何十年も保育の質、保育士不足と言われている原因の根本を知ってほしいと思う。

    それは構造の問題だと思う。時代が大きく変わっているのに封建的で縦社会の保育の世界は異様。ベテラン正社員など立場が上の人のみが給与を上げてもらい、パートは下がる。仕事も立場の弱い保育士におりてくる。

    だからまずは園長やベテラン保育士の声ではなく、保育士パートや補助の仕事をしている先生、新卒保育士の声をきくべきだと思う。

    この構造の問題は保育園が社会の縮図として機能しているのだから、子どもへの影響も大きい。保育士がパート保育士に雑用ばかり指図する姿はまるで奴隷みたいで、子どもは人を差別区別することを学んでしまっている。

    本来、社会の共同性を学ぶために私たち保育士は平等でチームを組むべきなのに。。。

    ぜひ、政治家の方には保育現場の底辺(雑用の多さも)を見てほしい。保育者が平等で対等にチームを組める保育現場になるように力を貸してほしいと思う。

     女性 40代
  • 匿名 says:

    何かの記事で10.7%の処遇改善の計算方法が難しく、時間がかかっていたり、理解ができていなかったりして保育士まで届いていないというのを見ました。うちもまだ届いていません。

    年度末にいただいていた今までの処遇改善の分が、月々の給料に分散されたので、見た目の給料は上がっているように見えますが、トータルではむしろ下がったのではないかと不安になります。

    それで月々の給料を上げました。処遇改善できています。と、報告しているとかはないでしょうか?

    年度末には、数人の保育士が給料目当てに他の業種に転職しました。なのに今年度は1人も入ってきません。

    短大卒の初任給は16万、手取りではいくらでしょうか、、誰も入ってきません。もう現場は限界です。%とかでなく、わかりやすく、保育士の最低賃金は〇〇万円。と決めてほしいです。そこからの昇給でいいのではないでしょうか。

    わかりやすく、素早い改善をお願いします。

     女性 30代

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