「3密」避けられない保育園 抱っこは不可欠、布団の間隔2mも無理 悩む保育士「気づかずうつしたら…」
子どもにはマスクも「距離」も難しい
17日午後、横浜市旭区の認可園「三ツ境たんぽぽ保育園」を訪ねると、1階でゼロ~2歳児クラスの園児6人が昼寝の最中だった。「保育の人員的にもスペースの面でも布団の間隔を2、3メートルも空けることは難しい」。マスクをして寝かしつけていた女性保育士(47)は話す。
保育園では赤ちゃんが泣けば抱っこが不可欠。乳幼児が常にマスクをし、距離を保って生活するのは年齢的に難しい。「窓を開けるなど予防を徹底しているが、保育園は避けることのできない『3密』の空間。それぞれの家庭でみるのが一番安全なので原則として閉園し、どうしても保育が必要な子に限って受け入れるべきでは」と女性保育士は指摘する。
給食室も3密…調理スタッフに不安
7日の緊急事態宣言を受け、横浜市が園を通じて保護者に家庭での保育の協力を呼びかけたこともあり、登園しているのは在園児約60人のうち3、4割。園では、通勤距離が長かったり、小学生以下の子どもを育てる保育士の出勤を減らして対応している。
「手洗いやアルコール消毒など普段以上に気をつけているが、気付かないうちに感染していて、知らずにうつしてしまう可能性があるのが心配」と別の女性保育士(24)は漏らした。
調理スタッフも苦悩してきた。園は13日から給食を中止し、子どもたちは弁当を持参するようになったが、それまでは10平方メートルの給食室で3人が調理していた。女性栄養士(31)は「『3密』の空間で作るのが不安だった」。女性管理栄養士(34)も「食中毒予防用のマニュアルで対応していたが、コロナにも通用するのか分からなくて怖かった」と明かす。
「職員感染時の対応策を」市に要請
横浜市内では認可保育園2園と幼保連携型認定こども園1園が職員の感染により休園している(21日時点)。
保育士らでつくる全国福祉保育労働組合神奈川県本部は、職員の感染時の対応策の明示や休業補償などを求める緊急要請書を横浜市に提出した。
三ツ境たんぽぽ保育園の保育士で同本部の佐藤加代子副執行委員長は「仕事を休めない保護者は不安の中で子どもを預けている。保護者が無理をせず休んだり在宅勤務をできるよう、国や自治体から勤務先に要請してほしい」と訴えている。
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