気象予報士 斉田季実治さん 夫婦間でもアポ取って対話 今の私があるのは妻のおかげ

熊崎未奈 ( 2021年9月26日付 東京新聞朝刊)

家族のこと話そう

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斉田季実治さん(本人提供)

妻と会社設立 未来のための行動力を

 父親が林野庁の職員だったので転勤が多く、東京、秋田、大阪、熊本と全国各地に住みました。土地ごとの天気の違いに子どもの頃から興味がありましたね。

 NHK熊本放送局の気象キャスター時代に妻と出会い、結婚しました。11歳、9歳、3歳の息子がいます。妻は都市計画やまちづくりの研究者で、結婚当時は熊本県立大の准教授。今は東京の大学で兼任講師をしていますが、長男が小学校に入学するまでの6年間は、私が東京、妻が熊本の2拠点生活でした。

 お互い専門職で忙しい分、夫婦の話し合いを大事にしてきました。夫婦間でもアポイントメントを取って、話す時間を確保しています。結婚した当初は、2人でそれぞれの「10年後のビジョン」を付箋に書いて模造紙に貼って、グループ分けするワークショップのようなことをやりましたね。今後のキャリアや金銭的な計画まで話し合い、家族の形をつくってきました。

 妻は、対話を通じて目標達成を支援する「コーチング」の資格も持っており、話していると、自分のしたいことが具体化してくる感じがします。キャスターの仕事だけでなく、人工衛星などの安全に関わる「宇宙天気」のプロジェクトに携わったり、ドラマの気象考証をしたり。今の私があるのは妻のおかげでもあるでしょうね。

 2018年には2人で会社を設立しました。私は気象や防災の仕事、妻は政策研究や人材育成に関する仕事をしています。異なる分野ですが、「よりよい未来のために行動できる力を養う」という方向性は共通しています。

息子たちは虹の自由研究や空の観察も

 息子たちは、私の出演している気象情報はあまり見ていないようです。「直接聞いたほうが早いじゃん」と。次男は雪が降る日に半袖で外に出ようとしたので「父親とコミュニケーションが取れていないと思われる」と引き留めたこともありました。

 でも、気象への関心はあるようです。次男とは今年の夏の自由研究で一緒に虹を作る実験をしました。長男と次男は「あの雲、まだオーバーシュートしていないよね」なんて話すこともあります。積乱雲が成層圏まで発達することを指す専門用語ですが、そういうことも気にしながら空を見ています。

 子どもたちには親と同じことをしてほしいとは思いません。自分で考えて行動できるようになることが大事だと思っています。それぞれの考えを尊重しながら、家族としても成長していきたい。私自身、幼い頃は転校が多くて周りの環境がめまぐるしく変わった中で、家族は一番大事ですし、帰る場所だった。妻や子どもたちにとってもそういう場所であってほしいです。

斉田季実治(さいた・きみはる)

 1975年、東京都生まれ。北海道大3年時に気象予報士資格を取得。民放テレビ局、民間気象会社を経て、2006年にNHK熊本放送局の気象キャスターに。現在はNHKの「ニュースウオッチ9」に出演し、連続テレビ小説「おかえりモネ」の気象考証も担当する。

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  • 匿名 says:

    素敵な話だと思いました。
    夫婦もお互い仕事に対する敬意が必要ですね。

      
  • 匿名 says:

    まさに「おかえりモネ」のモネと菅波みたいな関係ですね。素敵です。

      

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