医療的ケア児の訪問看護サービスが前橋市でスタート 夜8時まで対応 「一人で頑張らず、自分時間を大切に」

6月からソイナースの訪問看護サービスを利用する石川知果さん、京子さん親子と、女屋さん(左)、横山さん(右)=高崎市足門町で
独協医科大の同級生が立ち上げ
事業を始めるのは、2019年11月から東京都内で小児専門の看護ケアリングサービスを行う「ソイナース」。都外初の拠点となる「ソイナース訪問看護ステーション群馬Ship」を5月に前橋市に開設した。
同社代表取締役の横山佳野さん(36)と、群馬Shipの責任者を務める女屋(おなや)美花さん(36)は独協医科大で看護学を学んだ同級生。女屋さんは大学病院の新生児集中治療室(NICU)で約10年間の勤務歴があり、6歳と3歳の子を持つ母親でもある。
群馬Shipには小児科勤務の経験を持つ10数人の看護師が所属する。同所から車でおおむね30分圏内の家庭を対象に訪問看護をする。一般の訪問看護サービスにはあまりない、夕方以降の時間(午後8時まで)も受け付けるのが特長で、女屋さんは「夕食の準備や他の家族の送り迎えなど、母親が最も忙しい時間に見てもらえるのは大変喜ばれると思う」と語る。
母親「生活レベルが整えられる」
高崎市足門町の石川京子さん(53)は既に利用を申し込んだ一人。長女の知果さん(12)は生後10日で細菌性髄膜炎を発症し、胃ろうやたん吸引、おむつ交換などの医療的ケアを日常的に必要とする。
石川さんは「10数年前は訪問看護を頼んでも、『医療的ケア児はちょっと』と断られることが多かった。働きにも出られず、大変苦労した」と明かす。6月からは既存の別会社のサービスと並行して利用する予定で、「生活レベルがだいぶ整えられる。同じ境遇の母親たちにも気兼ねなく使ってほしい」と呼びかける。
横山さんによると、東京ではサービスを利用した共働き夫婦が増えているという。伊勢崎市出身の女屋さんは「群馬の女性は強いだけに、母親が一人で頑張ってしまうケースが多い。サービスを上手に利用して、ひと息ついたり、再び働きに出たりしてもらえるとうれしい」と語る。
医療的ケア児
新生児集中治療室(NICU)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童を指す。厚生労働省によると、在宅で暮らす医療的ケア児は2021年時点で全国に約2万人いると推計され、医療技術の進歩などで20年前と比べて約2倍に増えた。21年9月には医療的ケア児とその家族を支援する法律(医療的ケア児支援法)が施行された。
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