ありえないことを考えたらもっと面白い世界になった!「てらす まなぶ ダイバーシティーのこと〜絵本でまなぶ多様性〜」イベントレポート

「絵本ラウンジLOOPなかの」で自分の作品を手に記念撮影
多様性って何?子どもたちと一緒に考えた
会場は、5000冊の絵本がそろう「絵本ラウンジLOOPなかの」です。多くの絵本に囲まれて、会場に入ってきた子どもたちは興味津々。イベントの進行は、絵本専門士でアナウンサーの野田英里さん。

子どもたちに質問をする野田英里さん
まずは子どもたちに「多様性ってことば知ってる人?」と聞くと、少し自信なさげに手を上げる子の姿がありました。「多様性ってなにー?」と大きな声で質問してくれる子も。「みんなそれぞれ見た目も考え方も、違うところがたくさんあるよね。違うことはいいことで、全部大切ということ。それが多様性です」と野田さんが説明すると納得したような顔の子、「ふーん」という感想の子などさまざまな反応を見せてくれました。
60カ国の絵本がそろう絵本ラウンジ
次に絵本ラウンジの紹介です。絵本ラウンジLOOPなかのの上智怜(かみ・ちさと)さんから子どもたちにクイズです。「この絵本ラウンジには外国の本も多くあります。さて、何ヶ国の絵本があるでしょうか?10カ国、30カ国、60カ国どれだと思いますか?」と質問すると、「30カ国くらいかなー」という声が聞こえてきます。「答えは60カ国!」と聞いてびっくり。外国の本のほかにも、SDGsやダイバーシティに関する本も多くそろっていることを教えてもらいました。

絵本ラウンジLOOPなかのを紹介する上さん
絵本の世界に笑ったり、しんみりしたり
ここからは絵本の読み聞かせが始まります。野田さんの優しい声が子どもたちを絵本の世界に導きます。この日のために野田さんが選んだ本は4冊。
最初に読んだのは「なんでやねん」(世界文化社)。「朝起きたらちょんまげが生えてた、なんでやねん!」とみんなで絵本につっこみをいれて大笑い。

「なんでやねん」の振りを子どもたちと練習
2冊目は「トンちゃんってそういうネコ」(汐文社)。読み進めていくとトンちゃんには足が1本ないことがわかり、子どもたちは急に静かになりました。自分がやりたいことに前向きなトンちゃんの姿に、子どもたちが引き込まれていく様子が見えました。3冊目の「じゃない!」(フレーベル館)では、キュウリに見えてバナナだった、など思っていたものと違うものが出てくることがわかると、今度こそ当てようと絵本を食い入るように見ていました。

絵本を食い入るように見る子どもたち
最後の本は「ありえない!」(偕成社)。うさぎのマジシャンのハットから出てきたのがちいさな人間、などありえないことが次々と起こる世界に「ありえないけど面白い」という感覚に引き込まれます。

「ありえない!」の世界に引き込まれる子どもたち
ありえないミュージアムを作ろう
絵本の世界でたっぷりとありえないことを味わった子どもたち。次は、みんなで「ありえない!」を考えて、「ありえないミュージアム」をつくるため、「ありえないけどあったらいいな」と思うものを絵に描きます。みんな描き出しがとても早く、自分の世界に入っていきます。みんながつくってくれた「ありえない!」作品の一部を紹介します。

「雨といっしょにアメが降ってきた」

「でかでかカタツムリ」

「ねこが飛んで、みんなびっくりする世界」

「ユニコーンに乗って空の上で遊ぶ」
違いを受け入れられるようになってほしい
海賊やゆうれいの迷路が大好きという豊島区の5歳の男の子の母親は、子どもには人との違いを受け入れてほしいと日頃から思っているそうです。「最近は何で?と聞いてくることが増えました。違いに気づきはじめたのかなと感じています。自分がわからないときは子どもと一緒に調べることもあります」と教えてくれました。
豊かな表情の動物の絵が印象的だった5歳の女の子。インスタグラムで見かけたこのイベントの参加を決めた母親は「自分が外国籍なので、多様なバックグランドの人に触れてほしいと思っています。(自分が)子どもの頃と比べて、外国の人に触れる機会はとても増えました。いま子育てをしている中でも、児童館やSNSで同じような環境の人たちとすぐに集まることができています。絵本ラウンジには60の国々の本があると聞いて、とてもいいなと思いました」と笑顔を見せてくれました。
7歳の女の子の母親は、「保育園の頃から、女の子だからとか、こうしなくちゃといった考え方を押し付けないように気をつけている」と言います。自分が子どものときに、周りからの押し付けを感じていたからだそうです。「娘は保育園のときにアフリカ出身のお友達ができて、髪の毛がくるくるしていてかわいいねと言ったりして自然と受け入れていると感じています。でも小学校に上がって、親の目が届かないからこの先どう変わっていくのかは気になります」と子どもを見つめていました。
10歳・6歳・4歳の3兄弟と参加してくれた母親は、普段から子どもたちとのコミュニケーションに絵本やテレビを活用しているそうです。「男の子3人だけど、自分の生理の話もしています。私がトイレに入っている時に開けちゃってびっくりしていたので、でも病気やケガじゃないんだよって安心させてあげられるし、誤魔化さないで話すことは大切だなと思って。知らないことのほうがこわいので、知ることを大事にしています」と教えてくれました。
主催:東京すくすく(東京新聞) 共催:絵本ラウンジLOOPなかの 協賛:希望食品 後援:中野区
野田英里(のだ・えり)さん
絵本専門士・アナウンサー。幼稚園教諭を経て、2007 年アナウンサーに転身し、NHK・民放で報道番組を中心に活躍。アナウンサーへの転身をきっかけに絵本の読み聞かせを始め、子育て支援センターや自治体イベントなどに取り組む。フリーに転身後は、大学院で「マタニティ期を対象にした絵本プログラムの構築」をテーマに研究。絵本講座(保護者、保育者、図書館ボランティア)や、小学校の音読(朗読)授業、絵本関連の司会、インタビュアーなど、アナウンススキルを活かしながら活動を続けている。
絵本ラウンジLOOPなかの
中野区の中野セントラルパークイーストに2024年5月にオープンした会員制絵本ラウンジ。常時、約5000冊の絵本がそろう。絵本を通して様々な世代の人が集うことを目的としており、大人だけでも利用できる。中野セントラルパークに面した大きな窓が開放的な空間を演出している。利用料は大人1日500円で、子ども(高校生まで)は無料。1年間フリーパスもある。
てらす まなぶ ジェンダーのこと
東京すくすくでは、3月8日の国際女性デーに合わせて「てらす まなぶ ジェンダーのこと」特設ページを開設しました。今後は、子どもと大人が共にジェンダーについて学ぶ場となるような記事を充実させていきます。詳しくは下記のURLからご確認ください
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