時間割通りにオンライン授業の私立校 紙の宿題を自習する公立校 学びの「差」に広がる不安
音楽科で遠隔ピアノレッスン
松戸市秋山の聖徳大学付属女子高校音楽科1年の竹市真央さん(15)は、マンツーマンによるピアノのレッスンに励んでいる。遠隔で教員の指導を受けながら、画面上で運指をチェックしてもらう。
「まだ高校に行っていないので不安もあるけれど、先生が毎日、課題を配信してくれて時間割通りに生活できている」と竹市さん。
同大付属女子中学、高校は3月2日から休校、4月10日にネットによる授業を開始した。始業式もオンラインで実施し、在校生は1度も登校していない。
教員も3分の2が自宅で授業
毎朝、ホームルームで検温結果と健康状態を報告すると、午後3時前まで6時限の授業がある。毎時間「ふりかえりシート」を提出し、授業の理解度を報告する。タブレットを持っていない中学1年の新入生はスマホを活用。教員も3分の2が自宅で授業を行う。
文部科学省の多様な学習評価の研究を受け、2013年から生徒のタブレット購入を進め、約500人の全校生が所有する。板書時間の短縮、持ち歩く教材の削減など効果があり、カメラを駆使すれば理科の実験、体育や書道の実技にも使えた。リポートの提出、教員や生徒間の意見交換、卒業アルバム作りにも役立ったという。
生の授業よりは効率が悪いが、学び止められない
中学2年の数学を受け持つ村越靖弘教務部長は「授業に参加してくれるか不安だったが、生徒たちの反応はいい」と手応えを話す。「教室であまり発言しない生徒がネットなら質問してくる」という。ただ「まだ生徒たちに直接、会っていないのでそれぞれの教え方が分からない」と悩みも。
川並芳純校長は「生の授業より効率が悪い。どう考えてもマイナス」と指摘する。ネット授業は生徒の集中力が続かず、今後、授業時間の短縮も検討するという。それでも「タブレットがなかったら、なんて想像もできない。子どもたちの学びが止まってしまう」と力を込める。
システムの構築に取り組んだ大野正文副校長は、導入から軌道に乗るまでの苦労を振り返る。「一からやるのは相当厳しい。まず教員が使いこなせない。最大の効果を上げるために2年間を研修に費やした」。
公立学校は…松戸市教委「学習環境の格差は出ている」
一方の公立学校では、松戸市が、自宅にネット環境がない児童生徒に市立小中学校に備え付けのタブレット計2600台を貸与する方針。現在、対象者や配布方法などを検討している。市内の小中学生は約3万3500人。さらに今回、通信環境の整備は事業に含まれていない。
市教育委員会指導課は「学習環境の格差は出ているが、支援策を模索している。保護者からICT(情報通信技術)教育の整備を求める声はある」と認める。
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