性教育、特別養子縁組、コロナの衝撃…今年反響があった記事を「新聞記者ラジオ」で振り返りました
「子どもが遊ぶ権利」と「感染対策」
新型コロナウイルスの感染拡大は、子どもや子育てする人たちの暮らしにも大きな影響を与えました。とりわけ春の突然の一斉休校や、保育園の利用自粛の呼びかけの衝撃は大きく、子どもたちの居場所がどんどん狭められていくことに不安を感じた保護者も多かったと思います。
すくすくにかかわる記者たちも当事者として、さまざまなことを感じながら過ごしていましたが、感染防止という目的のもとに、子どもが遊んだり、自由に過ごしたりすることが必要以上に制約されていないか、という声が出たことをきっかけに、記者たちで座談会をしました。その内容を伝えた「公園封鎖、遊具禁止にモヤモヤ コロナ対策…でも子どもの”遊ぶ権利”は守らなくていいの? すくすく編集チーム座談会」には、「感染防止が一番大事な時期でやむを得ない」といった意見があった一方、「子どもが遊ぶ権利」という視点を持つことができて良かった、という共感の声もありました。
この記事には、「公園封鎖…子どもは外で遊んじゃダメ? 友達とつながるには? 識者からのアドバイス」という記事を添えました。小学校教員で育児雑誌編集者の岡崎勝さんは「子どもには遊びが必要。遊ばせないというのは子どもを抑圧すること」と指摘。不登校支援センター東京支部長の羽根千裕さんはビデオ通話など活用できるものを使って、小さい子どもにも「お友達に会えるよ」と安心させてあげることが必要、と助言してもらいました。
自分らしく、相手も大切にする性教育
ここ数年、関心が高まっている性教育に関する記事にも力を入れてきました。子どもが性被害に遭う事件が相次いだり、スマホの普及で子どもたちがネット上でどんな情報に触れているのか、親が把握しにくくなったりしていることが、性教育への関心の背景にあると思います。まずは親が正しい知識を持たなくては…ということで、連載特集「性教育ビギナーズ」では、親が抱く素朴な疑問を専門家にぶつけて回答いただきました。
日本では長年、「寝た子を起こすな」という意見が根強く、子どもたちに性について正面から伝えてきていませんでしたが、幼児期・児童期から成長の段階に応じて伝えることが大切です。そのことを伝え続けている産婦人科医・高橋幸子さんへのインタビュー「性教育「思春期から」はハードルが高い 10歳までにこれだけは伝えておこう」もぜひ、参考にしていただけたらと思います。性教育は、その人らしく生きることの尊さや、相手も大切にする心を育むこと。子育て層にそんな意識がもっと広がっていくといいですね。
子を託した女性の思いにコメント続々
性教育と同じく、日本でまだまだ進んでいないのが、産んだ親が育てられない子を養親が引き取って育てる特別養子縁組です。婚姻や出産を考える年齢が高くなり、不妊という課題に直面するカップルの選択肢となってきている面がありますが、どんな事情のもとに生まれた子どもも、安定した環境で愛情を受けて育つための手だての一つです。
産んだ子を養親に託した女性の心の動きに迫った「予期せぬ妊娠、生後5日で息子を託した母親 特別養子縁組が支えた「ごめんね」の先の人生」には、制度の広がりを期待するコメントが多数寄せられました。
「ぎりぎり間に合った特別養子縁組 18歳直前で実現した男性『実の親と縁切れてこそ』 対象年齢引き上げで救済可能に」の記事は、養親との縁組を望んでいた男性が、制度の改正によって、ぎりぎりのタイミングで実現できた事例を紹介しました。
多様な「家族の形」一緒に考えたい
自身も里子と特別養子縁組した子を育てている漫画家古泉智浩さんの連載「古泉智浩の里親映画の世界」にも、ぜひ訪れていただけたらと思います。映画通でもある古泉さんが、血縁ではない大人と子どもとの関係を描いた作品を「里親映画」と名付け、自身の子育てとも絡め、感じたことを率直につづっています。
同性カップルも含め、家族の形が多様化する中、血のつながりだけでない親子関係の可能性について、いろいろな立場の人たちの声を広く伝えることは、私たちメディアの役割だと考えています。引き続き、読者の皆さんと一緒に考えていきたいテーマの一つです。
コロナで大変な中、子どもたちの姿に励まされることが多い1年でした。一方、長引くコロナ禍の影響が来年以降、子どもたちにどんな形で出てくるのかを注視する必要があります。また、社会や経済状況が不安定になる中、孤立した子育てや困窮する家庭が今年以上に増える恐れもあります。すくすくは引き続き、こうした課題に向き合い、皆さんの役に立つ情報を伝えていきたいと考えています。来年もどうぞよろしくお願いします。
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