2歳の長女が外出時に歩いてくれません〈宮里暁美の子育て相談〉

(2025年4月11日付 東京新聞朝刊)

ひとりで悩まない 宮里暁美の子育て相談

11キロ超で抱っこしながらの散歩は負担です

 2歳2カ月の長女が外出時、歩いてくれません。ベビーカーに乗せようとすると「歩く!」と言い、歩かせようとすると「抱っこ!」と言います。体重が11キロを超えて抱っこも負担です。仕方なく抱っこして散歩すると、本人は疲れないためか、昼も夜もなかなか寝てくれません。どうすれば歩いてくれるでしょうか。(30代父親)

イラスト 抱っこをせがむ子ども

イラスト・永須華枝

子どもには究極の安心感 抱っこを楽しんで

 「抱っこ」には幾つもの悩ましさがあるように思います。一つ目の悩ましさは「抱っこ!」と強くせがまれて「仕方なく」するという状況。なんだか、子どものわがままに押されてしまったように感じて、無力感に包まれます。

 二つ目が、わが子にとっていいことなのかという疑問が浮かぶこと。抱っこを巡っては「あなたが抱くから、この子は歩かなくなる」と、夫婦間でもめたという話を聞いたことがあります。三つ目は手はしびれ、腰にも負担がかかり、疲れてしまうこと。最も切実な悩ましさではないでしょうか。

 そんな悩ましい「抱っこ」ですが、子ども側からは違う景色が見えてきます。抱っこされている時の顔を見ると本当にうれしそうです。自分の願いを受け止めてもらえたうれしさ、顔の位置が大人と同じになり、高い場所から周りを見るうれしさ、体がくっついていることのうれしさ。幾つものうれしさに包まれながら、究極の安心感を得ているように感じます。

 抱っこをめぐって親子で気持ちが擦れ違う状況を何とかするために、ぜひトライしてほしいのは悩ましさを減らす作戦です。「仕方なくする抱っこ」から「楽しむ抱っこ」に変換してみませんか? せがまれたら「抱っこ星人」に変身したつもりで抱っこします。親子で目線が同じという利点を生かして「あれは何かな?」と周りに見えるものについて語り合うのもいいですね。ただし抱っこ星人のパワーには限りがあるので、散歩先は近場にします。遊び道具を用意して、散歩先では抱っこのままではなく遊べるといいですね。

 こんなふうに移動中は抱っこ星人になるぞ、というくらいに大人が思っていると、気がついたらお子さんはスタスタ歩き出しているかもしれません。少なくとも、あと1年後くらいには-。それまで体力続くかな? がんばれ、お父さん!

(文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)

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