オンライン「園長検定」を1月26日に実施 川崎の元保育士らが企画 組織運営の知識をつけ、保育に笑顔を
健全な保育園づくりのカギは園長
子どもを預かる早朝から夜までシフト制で勤務。女性の担い手が多く、子育てや介護で勤務時間に制約がある人も多い。だが、その分の負担が別の人に集中すると、不満につながりかねない-。
検定をする一般社団法人「未来創造連携機構」(川崎市)の斉藤和琴(わこと)代表(38)が保育の現場の特殊性を説く。
自身もかつては保育士だった。膝を痛めてやむを得ず離職。民間の保育所で作る一般財団法人「川崎市保育会」に就職し、園長や管理職、保育士らを対象とした研修の企画を担当した。働き方改革に積極的に取り組む園と「うちはこのやり方でやってきた」と旧態依然とした園の二極化に気付いたという。
職場環境の改善に後ろ向きな園では、職員間のトラブルなどに対応できず不満がたまり、保育士の精神的な余裕のなさから「園児に矛先が向く不適切保育にもつながりかねない」と斉藤さんは懸念する。
保護者が子どもを安心して預けられる健全な保育園づくりには、園長の役割が大きいと実感した。
「園長には特別な資格がなくてもなれるが、本来は高度なマネジメント能力を求められる」という思いが、保育業界を支援しようと2024年8月に立ち上げた「未来創造連携機構」での園長検定実施に結びついた。
検定では、園の組織運営の質の高さや園長のスキルを示し、働く保育士や子どもを預ける保護者が安心できるようにする能力を問う。機構立ち上げに携わった理事も賛同してくれた。
プロが集結して検定問題を作成
検定問題を作成するのは、自治体向けなどの組織運営やマネジメントの研修を手がけるコンサル会社の代表も勤める山岡哲也さんと、東京都市大人間科学部で福祉マネジメントを専門とする園田巌准教授。園田准教授は保育園長の経験もある。
会議の際に施設長が発言する最も効果的なタイミングや、保育士の労働時間と休憩時間が労働基準法に違反していないかなど、業務や職場環境のマネジメントへの理解を問う。
斉藤さんは「一般企業にも通用する問題を保育業界にアレンジし、実践的な内容にした」と話し、自治体との連携も視野に入れる。「きちんと学んで実行していく園長を評価し、応援していくことで、業界全体がオセロのように変わっていくのでは」と期待する。
検定を通じて得た組織運営の知識を園長が実践すると、保育士らが働きやすい環境が生まれる。そして、園児を主体とした質の良い保育の提供が実現する-。そんな好循環を思い描き「園長検定に受かった人たちのコミュニティーをつくり、互いに切磋琢磨(せっさたくま)できる仕組みも整えていきたい」との展望も抱く。
検定は2025年1月26日、オンラインで実施。受検料は税抜き1万円。16時間のeラーニングなどを含む対策講座もある。申込締切は1月10日。詳しくは同機構のサイトの資格認定制度のページで紹介している。
園長検定
正式名称は「保育施設運営管理士検定」。1級と2級を設定し、保育施設や幼児教育施設の施設長、管理職、主任を対象とする。1級は「施設長クラス」、2級は「主任クラス」。
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