「母の故郷で野球を」夢がかなった 川崎市の少年野球チームがスウェーデン遠征、異文化交流も

渡部穣 (2022年10月6日付 東京新聞朝刊)
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スウェーデンで現地のチーム「HEAT」と合同チームをつくり交流する、「下作延第一ペッパーズ」の子どもたち =7月、スウェーデン・カルスクーガで(敦賀さん提供)

 川崎市高津区の少年野球チーム「下作延第一ペッパーズ」の6年生児童6人が今夏、メンバーの一人の母親の母国・スウェーデンを訪れ、野球を通じて現地の子どもたちと交流した。初の海外遠征で北欧の異文化に触れる貴重な体験にもなったという。

6年生6人が渡欧 現地で大会参加

 スウェーデン人の母親を持つのは、チームの副主将を務める敦賀メルヴィンさん(12)。父親の一幸さん(43)によると、メルヴィンさんは小学2年のときにプロ野球の試合を観戦し野球に魅せられた。毎年夏にスウェーデンの祖父母を訪ねており、「いつか仲間たちと現地に行って野球がしたい」と夢見ていたという。

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スウェーデン遠征を体験した「下作延第一ペッパーズ」の6年生。(前列左から)敦賀メルヴィンさん、佐藤在真さん、石川雄琉さん、(後列左から)増田瑛太さん、尾崎真太郎さん、増永啓人さん=高津区の下作延小学校で

 6月28日~7月8日、空路の移動を含め計11日間の日程で遠征。現地・カルスクーガで行われた野球大会に参加した。スウェーデンで野球はメジャーなスポーツではないが、全国から6チームが集まり「ペッパーズ」も現地の「HEAT」と合同チームをつくって戦った。現地チームは15歳以下で編成され、体格差はいかんともしがたく、1勝4敗。佐藤在真(あるま)主将(11)は「パワーがすごかった」と目を丸くする。

 ただ、同年齢の子どもたちのチームとの練習試合では、基礎力はペッパーズの方が上で「どんな練習をしているのか」などと質問攻めにされたという。現地の子どもたちは硬球を使っており、佐藤さんは「硬球の方が楽しかった」と話した。

いろいろな学び 子どもの財産に

 北欧での体験は野球にとどまらず、生活面の違いの刺激も大きかった。現地は白夜。メルヴィンさんの祖父母の別荘の裏庭に広がる湖でボートなどで遊んだ体験は、子どもたちの心に深く刻まれた。

 もう一人の副主将増永啓人さん(12)は「めちゃくちゃ楽しかった。言葉は通じなかったけど、食べ物もおいしかった」と笑顔。尾崎真太郎さん(12)も「湖で鬼ごっこをしたりボートに乗ったり楽しかった。また行きたい」と声を弾ませた。

 一幸さんは「言葉や文化、習慣、野球のプレースタイルなどいろいろなことを学んでもらえた。子どもたちの財産となり、将来必ず役立つと思う。6人の絆も深まり、より強いチームになると期待している」と遠征の意義を強調。メルヴィンさんは「ずっとみんなを連れていきたいと思っていた。実現できて良かった」と話していた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年10月6日

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