育休中も一定期間は手取りが10割に 育児・介護休業法の改正ポイントを解説します 柔軟な働き方への支援も拡充
子の看護休暇は入園式・入学式でもOKに
まず、「子の看護休暇」です。1年度に5日(子どもが2人以上の場合は10日)を限度に取得できる休暇ですが、対象の子どもが従来の「小学校入学前」から「小学3年生修了まで」に拡大されました。
取得の理由も、病気やけがなどだけでなく、感染症に伴う学級閉鎖や入園・入学式への出席が含まれるようになり、名称が「子の看護等休暇」と変更されました。
これまで3歳未満の子を育てる従業員が請求すれば免除されていた残業(所定外労働の制限)は、免除の請求可能な対象者が小学校入学前の子までに拡大されました。
3歳未満の子を育てる従業員がテレワークを選べるようにすることも事業主の努力義務となりました。
新制度 時短勤務でも10%相当の給付金
雇用保険法も改正され、育児休業中の給付金が追加されました。
育児休業給付金は一定の要件を満たした場合、育児休業開始から通算180日(6カ月)は給与の67%が雇用保険から支給され、181日以降は50%になります。改正後は、夫婦がともに14日以上の育児休業を取得した場合などに、最長28日間、手取り収入が実質的に減らないようにする「出生後休業支援給付金」が、従来からある給付金に上乗せされます。
配偶者がいない人や、配偶者がフリーランスで働き雇用保険に加入していない人については、本人が14日以上の育休を取れば支給されます。
2歳未満の子を育てるために時短勤務をする場合の新たな給付「育児時短就業給付金」が創設されました。時短勤務をする人のうち一定の要件を満たした場合、賃金の10%相当の給付金が支給されます。
テレワーク、休暇…事業主側に配慮義務
10月からは、3歳から小学校入学前の子を育てる従業員のため、事業主は次の5つから2つ以上の制度を選択し、柔軟な働き方を実現できるようする必要があります。
- 始業時刻などの変更
- テレワークなど(月10日以上)
- 保育施設の設置運営など
- 新たな休暇の付与(年10日以上)
- 短時間勤務制度
従業員はそのうち1つを選んで利用できます。事業主は、これらの制度を個別に周知し、意向を確認しなければなりません。今後、育児予定・育児中の従業員に個別にの子育てとキャリアの両立について意向を聞き取り、配慮することも義務化されます。
ファイナンシャルプランナーの八木陽子さんは「東京に住んでいる人は共働きが多く、忙しい。家計力を上げるには働き続けることが大事。少子化対策にもなり、これからも支援が充実されるといい」と話しています。
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監修・八木陽子
東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体キッズ・マネー・ステーションを設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う株式会社イー・カンパニーを設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。
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